ビエラ

「何もかも完璧だと疲れるからね。どこか一つ崩したところがあると……バランスや見栄えがよくなる。こんな風に」
「えっ!?向かいの家に飛行機が墜落……ああ、うん、飛行機のおもちゃの事…」
「すっステラ!?誰だステラの柔らかくて白くて細い指に傷をつけた奴は!出てこい僕が相手になってやる!」


☆フェローチェ♂寄 ビエラ(Biela)
うっかりや 暴れることが好き
年齢:27歳
身長:181cm
一人称:僕
好物:醤油ラーメン(特に袋麺)


異世界のウルトラデザートからやって来た「究極異獣(ウルトラビースト)」の1人。
カロス近辺の某国で妹ステラと共に電気屋「フェリセットのしっぽ」を営む発明家…だが、しょっちゅう爆発を起こす理由でもっぱら発明のアイデア出しと設計図作成、家電の修理を担当している。

外見は端正な顔立ちに細身の美青年。一方中身は気さくだがそそっかしくうっかりや、正義感が強いものの強すぎて逆にトラブルを引き起こしかねない残念な性格。
普段から聞き間違いや早とちりであらぬ行動に出るため、その度ステラがストッパーになっている。
本人は悪気はあるようだが、治すつもりはあまりないらしい。
ナルシストなきらいもあり、自分の外見に勝るものはステラ以外にいないと考えている。埃やバトルでの傷以外で汚れるのを嫌うため、それ以外で体が汚れるとひどく落ち込む。
おしゃれ好きで、ファッションセンスも中々のもの。髪が伸びるのが早い種族のため、よく髪型を変えている伊達男。

実はウルトラデザートにいた頃の記憶が無い記憶喪失。覚えているのは名前といくつかの出来事、元いた世界の科学技術のみ。
ウルトラホールを通った際にショックで記憶を失ったらしく、自分を今住んでる世界の住人だと思い込んでる他、本来血の繋がりの無いステラのことも妹として接している。
元いた世界ではステラの従者であり、彼女を助け、守ることが使命だった。それ故従者気質が強く「ステラの為、彼女の影となる」の思いが根底にある。
兄らしく振る舞い、ステラと格好を似せているのも無意識に彼女が喜ぶことをしているため。

ステラ同様速さで相手を翻弄し、目にも見えない速さで攻撃をぶち込む戦法。彼の場合は蹴り技だけでなく、遠距離技も得意とする。
強さはステラ以上で、脚力も彼女より強いので普段から特注のブーツを拘束具としてつけている。
記憶はないがフェローチェ特有の魅了する力を発揮でき、流し目で見た相手を魅了して戦意を喪失させる力を持つ。

元の世界にいた時の話
【主従になった兄妹】
ビエラは親から育児放棄され、6歳の頃に道端をさまよっていたところを「美しい顔で、ステラの使用人に仕立て上げるにはピッタリ」とステラの両親に拾われた。
そしてステラの従者として育てられるのだが、当時の幼いステラからすれば、彼は召使いより兄のような存在であった。そのためステラはビエラを「お兄」と呼び、ちょこちょこ後ろをついてくる程懐く。
拾われた直後は荒れていたビエラもステラの家族と過ごすうち本来の穏やかで気さくな性格に戻り、主従となるまではステラを妹として接するのだった。

今のビエラとステラには当時の記憶がおぼろげながら残っており、それ故互いを本当の兄妹だと思い込んでいるのである。

【ウルトラデザートの女王】
ウルトラデザート内の身分の一番上には世界を統べる女王がおり、国や民を守護する。
ある時は国の運命を占う預言者となり、ある時は民の願望を叶え、傷や病を癒す祈願を行う祈祷者となる女王は、国の中でも最も美しい少女が選ばれ、少女が死ぬまで君臨し続けるのである。
そして女王に選ばれた者は富と名誉と引き換えに自由を奪われ、社会から断絶された城の中で一生を過ごす事となる__。

ステラが15歳になった時、彼女は次期女王に選ばれる。
表に姿を現さない女王の仕事や掟は民には一切伝わっていない。知らせを聞いた時、ステラは「悠々自適で贅沢な生活ができる」と目を輝かせ、ビエラも一緒に喜んだ。
そして意気揚々と二人は城の中に入り、真実を知ってしまう。
軟禁状態で外部から遮断された生活。それは今まで自由奔放に生きてきた開放的なステラにとっては地獄の日々の始まりだった。
一切の自由を失い、変わり映えのない生活を強いられたステラは、女王として過ごすうち本来の天真爛漫で活発な性格から何にも関心を向けない鬱屈したものに変わり、殆ど言葉を口にしなくなる。
女王の真実を知った頃に密かにステラを外の散策に誘っていたビエラも、城の侍従に見つかって拷問され、脅されてからは何も出来なくなり、城の掟に縛られた従者として女王に仕える事を強いられる。

【異世界へ向かう主従】
ステラが女王になって幾年、ビエラが非番の時に他の世界から発明品を持って客人が現れる。
客人は献上品として様々な発明品を城に持ち込み、侍従達の注目を集める。しかしステラはどんな物にも一切興味を示さなかった。
ただ、最後の献上品である小さな箱_所有者の望んだ場所へ行ける機械_を目にした時、ステラが僅かに反応する。これ幸いと客人は機械の説明をし、ステラに持たせる。
(これで本当にどこへでも行けるなら、私は束縛も抑制も無い世界へ行きたい)
彼女が念じた時、願いに応えるように機械が作動すると辺りが爆発したような衝撃に包まれる。やがて侍従の一人が顔を上げた時、目に映ったのはウルトラホールに吸い込まれる女王の姿だった。

一方くつろぎながら昔に思いを馳せ、主人が再び快活な性格に戻り、屈託の無い笑顔を見せてくれる事を夢見ていたビエラ。
突如休みが一本の通達で終りを告げると、考えるより先に足が城に向かっていた。
(ステラ様を護り助ける、それが僕の使命だ!)
城に着くと半壊状態の機械を作動させ、侍従達の制止を振り切ってビエラもウルトラホールの中に突入する。全てはステラの為……こうして彼もウルトラデザートから未知の世界へ向かうのだった。

【異世界と兄妹】
ステラとビエラが通った不安定な状態のウルトラホールは二人に記憶喪失という影響を与えた。
故に二人がそれぞれこの世界…二人からすれば異世界…に降り立った時は、真っさらな状態で過酷な場所に放り込まれたに等しい状態だったのである。
先に着いたステラは、着いて早々この世界の住民に狙われ、訳も分からないまま逃亡生活を余儀なくされる。ある時は森の中で一夜を過ごし、ある時は生きる為盗みを働く。この世界の言葉を覚えるうち、ステラは「この世界の住民は自分に明確な敵意を持っている」と把握してひっそりと周りから隠れて過ごすようになる。
一方ビエラはたどり着いた先にいた町の住民に保護され、この世界の事を学びながら過ごす。

そんなある日、ビエラは他の地域の住民に追われる同種族を見かけ、彼女を助ける。
普通ならそこで終わるであろう出会い。しかし互いに顔を見合わせた時、二人は同じ事を思い浮かべる。“初めて出会った気がしない”
互いに不思議な思いを抱く中、ビエラが口を開く。
「…君は、妹じゃないか!」「…そう、だっけ」「ああ、僕は君の兄だ!」
おぼろげな記憶で導き出した彼の答えは、遠い昔ステラがビエラを兄のように慕っていた頃の思い出だった。
ステラもビエラに押され、かつての従者だった彼を兄として対等な関係で接することを決める。
かくして義理の兄妹は不幸な出来事も思い出も消し去り、気ままにこの世界で暮らすようになる_。

なお、この世界の住民を避けていたステラがビエラに教えられて誤解を解いたり、同じ異世界の住人であるセイムやフォンと出会い、親しくなるのはまた別な話である。