ステラ

「そこのお兄さんお姉さん!!見て見てこの発明品!ちょっと癖が強いけど最高の出来だから試しに使ってみて!ねえねえ!」
「だから私は女王様じゃないって~!なんとかデザートってところも知らないし!」
「お兄……ただの切り傷だしさっき作業で手を切っただけだから。そこまで騒がないで」


フェローチェ♀寄 ステラ(Stella)
やんちゃ ちょっぴり見栄っ張り
年齢:24歳
身長:167cm
一人称:私
好物:カップ焼きそば


異世界のウルトラデザートからやって来た「究極異獣(ウルトラビースト)」の1人。
カロス近辺の某国で兄ビエラと共に電気屋「フェリセットのしっぽ」を営む発明家。
彼女の発明は本人曰く「独創的なセンス」で癖が強く、最初は扱いにくいが慣れると驚くほど使いやすくなるものが多い。中には現代科学では作れない技術で作られた作品もあり、周囲からは一目置かれている。
とはいえ発明品の取っ付きにくさや店舗の目立たなさから店はそこまで繁盛しておらず、周りに助けてもらっている状況。

底抜けに快活で前向きな性格で、自らスリルを追い求める。初対面の相手とすぐ仲良くなれるコミュ力持ち。元気すぎて一緒にいると楽しいけど疲れるタイプ。
じっとしていることが嫌いで落ち着きがなく、中高生の年齢じみた言動も目立つ。それでいて周囲に目を向けており、うっかりやなビエラを的確にフォローしている。
周りと少し感性が違うところもあり、変わり者な残念な美人と評されている。
誰かとわいわい騒ぐ事、歌ったり音楽を聴くこと、発明品を作ることが好き。

ウルトラデザートにいた頃の記憶が無い記憶喪失。覚えているのは名前といくつかの出来事、元いた世界の科学技術のみ。
彼女の作品に現代科学に見られない特徴があるのは、異世界の技術が組み込まれているからである。
ウルトラホールを通った際にショックで記憶を失ったらしく、自分を今住んでる世界の住人だと思い込んでる他、本来血の繋がりの無いビエラのことも兄として接している。
かつての彼女はウルトラデザートの女王だったため、他のウルトラビーストから敬意を払われることもしばしばある。その時「性格が全然違う」と言われることもあるが、当然ステラは一切身に覚えがない。
記憶が無いからか、汚れてもへっちゃら、相手を魅了する能力を持たないと種族らしくない面も多く見られる。

凄まじい脚力を持ち、戦闘時はスピードで相手を翻弄し、蹴り技をお見舞いする戦法をとる。
武器は主に素手とグリーブ。グリーブは強過ぎる脚力を抑える拘束具でもあり、外すと爆発的な瞬発力と俊敏さを見せる。
露出することは少ないが、美脚の持ち主。

元の世界にいた時の話
【主従になった兄妹】
ビエラは親から育児放棄され、6歳の頃に道端をさまよっていたところを「美しい顔で、ステラの使用人に仕立て上げるにはピッタリ」とステラの両親に拾われた。
そしてステラの従者として育てられるのだが、当時の幼いステラからすれば、彼は召使いより兄のような存在であった。そのためステラはビエラを「お兄」と呼び、ちょこちょこ後ろをついてくる程懐く。
拾われた直後は荒れていたビエラもステラの家族と過ごすうち本来の穏やかで気さくな性格に戻り、主従となるまではステラを妹として接するのだった。

今のビエラとステラには当時の記憶がおぼろげながら残っており、それ故互いを本当の兄妹だと思い込んでいるのである。

【ウルトラデザートの女王】
ウルトラデザート内の身分の一番上には世界を統べる女王がおり、国や民を守護する。
ある時は国の運命を占う預言者となり、ある時は民の願望を叶え、傷や病を癒す祈願を行う祈祷者となる女王は、国の中でも最も美しい少女が選ばれ、少女が死ぬまで君臨し続けるのである。
そして女王に選ばれた者は富と名誉と引き換えに自由を奪われ、社会から断絶された城の中で一生を過ごす事となる__。

ステラが15歳になった時、彼女は次期女王に選ばれる。
表に姿を現さない女王の仕事や掟は民には一切伝わっていない。知らせを聞いた時、ステラは「悠々自適で贅沢な生活ができる」と目を輝かせ、ビエラも一緒に喜んだ。
そして意気揚々と二人は城の中に入り、真実を知ってしまう。
軟禁状態で外部から遮断された生活。それは今まで自由奔放に生きてきた開放的なステラにとっては地獄の日々の始まりだった。
一切の自由を失い、変わり映えのない生活を強いられたステラは、女王として過ごすうち本来の天真爛漫で活発な性格から何にも関心を向けない鬱屈したものに変わり、殆ど言葉を口にしなくなる。
女王の真実を知った頃に密かにステラを外の散策に誘っていたビエラも、城の侍従に見つかって拷問され、脅されてからは何も出来なくなり、城の掟に縛られた従者として女王に仕える事を強いられる。

【異世界へ向かう主従】
ステラが女王になって幾年、ビエラが非番の時に他の世界から発明品を持って客人が現れる。
客人は献上品として様々な発明品を城に持ち込み、侍従達の注目を集める。しかしステラはどんな物にも一切興味を示さなかった。
ただ、最後の献上品である小さな箱_所有者の望んだ場所へ行ける機械_を目にした時、ステラが僅かに反応する。これ幸いと客人は機械の説明をし、ステラに持たせる。
(これで本当にどこへでも行けるなら、私は束縛も抑制も無い世界へ行きたい)
彼女が念じた時、願いに応えるように機械が作動すると辺りが爆発したような衝撃に包まれる。やがて侍従の一人が顔を上げた時、目に映ったのはウルトラホールに吸い込まれる女王の姿だった。

一方くつろぎながら昔に思いを馳せ、主人が再び快活な性格に戻り、屈託の無い笑顔を見せてくれる事を夢見ていたビエラ。
突如休みが一本の通達で終りを告げると、考えるより先に足が城に向かっていた。
(ステラ様を護り助ける、それが僕の使命だ!)
城に着くと半壊状態の機械を作動させ、侍従達の制止を振り切ってビエラもウルトラホールの中に突入する。全てはステラの為……こうして彼もウルトラデザートから未知の世界へ向かうのだった。

【異世界と兄妹】
ステラとビエラが通った不安定な状態のウルトラホールは二人に記憶喪失という影響を与えた。
故に二人がそれぞれこの世界…二人からすれば異世界…に降り立った時は、真っさらな状態で過酷な場所に放り込まれたに等しい状態だったのである。
先に着いたステラは、着いて早々この世界の住民に狙われ、訳も分からないまま逃亡生活を余儀なくされる。ある時は森の中で一夜を過ごし、ある時は生きる為盗みを働く。この世界の言葉を覚えるうち、ステラは「この世界の住民は自分に明確な敵意を持っている」と把握してひっそりと周りから隠れて過ごすようになる。
一方ビエラはたどり着いた先にいた町の住民に保護され、この世界の事を学びながら過ごす。

そんなある日、ビエラは他の地域の住民に追われる同種族を見かけ、彼女を助ける。
普通ならそこで終わるであろう出会い。しかし互いに顔を見合わせた時、二人は同じ事を思い浮かべる。“初めて出会った気がしない”
互いに不思議な思いを抱く中、ビエラが口を開く。
「…君は、妹じゃないか!」「…そう、だっけ」「ああ、僕は君の兄だ!」
おぼろげな記憶で導き出した彼の答えは、遠い昔ステラがビエラを兄のように慕っていた頃の思い出だった。
ステラもビエラに押され、かつての従者だった彼を兄として対等な関係で接することを決める。
かくして義理の兄妹は不幸な出来事も思い出も消し去り、気ままにこの世界で暮らすようになる_。

なお、この世界の住民を避けていたステラがビエラに教えられて誤解を解いたり、同じ異世界の住人であるセイムやフォンと出会い、親しくなるのはまた別な話である。